🌍 インクルーシブデザインの新時代:EU法制化から見える2025年のUX進化

こんばんは、Miyu Canvasです。

6月に入り、いよいよ2025年も折り返し地点ですね。今年はデザイン業界にとって本当に変化の激しい年だったと改めて感じています。

EU市場で始まったアクセシビリティ革命

今月末、6月28日にヨーロッパ市場で重要な変化が起こります。この日以降、EU加盟国で提供される製品・サービスは、すべてアクセシビリティ要件に準拠することが法的に義務化されるのです。

これは単なる地域的な法律の変更ではありません。グローバル企業にとって、ヨーロッパ市場は無視できない規模です。結果として、世界中の企業がEU基準に合わせてデザインを見直す必要に迫られています。

私自身も、最近のクライアントプロジェクトで「将来的にヨーロッパ展開を視野に入れているので、アクセシビリティを考慮したUI設計にしてほしい」という要求を受けることが増えました。これまで「あればよい」とされていたアクセシビリティが、今や「必須要件」に変わりつつあります。

インクルーシブデザインが切り拓く新たな可能性

アクセシビリティとインクルーシブデザインは似て非なるものですが、今回のEU法制化をきっかけに、インクルーシブデザインの重要性も再認識されています。障害の有無に関わらず、すべてのユーザーが快適に使えるデザインを目指すこの考え方は、結果として全体のユーザビリティ向上につながります。

面白いことに、音声インターフェースの普及もこの流れと密接に関連しています。視覚に頼らない操作方法の提供は、視覚障害者だけでなく、運転中や料理中など「手が使えない状況」の健常者にとっても有益です。

最近、音声UIについてリサーチを重ねていますが、この分野はまさにインクルーシブデザインの実践例と言えるでしょう。従来の視覚的なUIとは全く異なるアプローチが必要で、UXデザイナーとしては新たな学習領域として非常に興味深いものです。

AI協働プロジェクトの新展開

前回のブログでもお話したAIとの協働プロジェクトですが、この1週間でまた新しい発見がありました。特に注目しているのが、「AIとの対話を通じたアクセシビリティ検証」の可能性です。

AIに対して「このUIはスクリーンリーダーを使うユーザーにとってどうか?」「色覚異常のユーザーにはどう見えるか?」といった質問を投げかけることで、私たちが見落としがちな問題点を指摘してもらえるのです。

もちろん、実際のユーザーテストに勝るものはありませんが、設計段階での初期検証としては非常に有効だと感じています。AIとの協働が、より包括的なデザイン思考を促進してくれる例の一つですね。

2025年デザイントレンドの現在地

年初から追いかけてきた2025年のデザイントレンドですが、6月に入って明確になってきたことがあります。それは「技術主導から価値主導への転換」です。

3DデザインやジェネレーティブAIといった技術的なトレンドは確実に浸透していますが、単に「新しいから採用する」のではなく、「ユーザーにとってどんな価値があるか」を重視する姿勢が強まっています。

アクセシビリティ法制化もその一環と捉えることができます。技術的な実装の複雑さよりも、「誰もが使えるデザイン」という価値を優先する動きが、法的な後押しを得て加速しているのです。

フリーランス市場の現実と向き合う

最近のフリーランス市場について調べていたところ、興味深いデータを見つけました。2025年のフリーランスが最も重視するのは「収入を増やす」ことで、これが63.8%を占めているそうです。

正直なところ、この数字には複雑な思いがあります。「自由な働き方」を求めてフリーランスになったはずなのに、結果として収入面でのプレッシャーを感じている人が多いということでもあります。

私自身を振り返ってみると、フリーランスとして10年近く活動してきて感じるのは、「収入の安定化」と「新しい挑戦」のバランスの難しさです。特に最近のような変化の激しい時期には、既存のスキルだけでは対応できない場面が増えてきています。

アクセシビリティやインクルーシブデザインの知識、音声UIの理解、AI協働スキルなど、求められる専門性の幅が確実に広がっています。この現実と向き合いながら、継続的に学習していくことが、フリーランスとしての競争力維持には欠かせません。

データドリブンな思考の重要性

最近のプロジェクトで改めて実感したのが、「なんとなく」でデザインしていた時代の終焉です。アクセシビリティ要件にしても、AIの活用にしても、明確な根拠と検証可能な指標が求められます。

例えば、色のコントラスト比は具体的な数値基準があります。ユーザーテストの結果も、定性的な感想だけでなく、タスク完了率や操作時間といった定量データとセットで評価することが当たり前になってきました。

この変化は、UI/UXデザイナーにとって「科学的なアプローチ」の重要性を示しています。美的センスや直感も大切ですが、それだけでは不十分な時代になったということでしょう。

継続学習のススメ

変化の激しいこの業界で生き残るために、私が最近意識しているのは「学習の質」です。新しい技術やトレンドを追いかけるだけでなく、「なぜその変化が起きているのか」「背景にある価値観やニーズは何か」を理解することを心がけています。

EU法制化も、単に「新しいルールができた」と捉えるのではなく、「多様性を尊重する社会への転換点」として理解することで、今後のデザイン戦略により深い洞察を得られます。

AIとの協働についても、「便利なツール」として使うだけでなく、「創造的パートナー」として対話することで、自分の思考プロセス自体をアップデートできています。

6月も引き続き、変化を恐れずに新しいことを学び続けていこうと思います。特に音声UIについては、実際に小さなプロトタイプを作ってみることで理解を深めたいと考えています。

皆さんも、この激動の時代を一緒に楽しみながら乗り越えていきましょう。おやすみなさい🌙

タイトルとURLをコピーしました